2012/05/19

WgetをAndroid NDKでコンパイル

2017/11/20 追記
Android 5.0以上ならTermuxでWgetを使用できます → Termuxの備忘録
追記ここまで

configureを使用してからmakeするソフトウェアをAndroid用にコンパイルできればなぁ、と。
間違っているところもあると思いますので注意してください。

こんな流れで作成してみる。

  • configureでコンパイル時に必要なファイル等を作成
  • Makefileと実際にmakeして、コンパイル対象となるソースやコンパイル時の定義を確認し、Android.mkを作成。(makeで作成されるバイナリでもAndroidで動くのですが、ndk-buildで作成したいので)
  • ndk-buildでAndroid用のバイナリを作成

Android用のWgetは既にバイナリが提供されているので(Android用のwgetを導入参照)、無駄に思えるけど、Wget(1.11.4)がコンパイルしやすかったので、NDK内のドキュメントSTANDALONE-TOOLCHAIN.htmlを読みながらコンパイルしてみる。
(CentOS 5.8上のAndroid NDK Revision 8で実行しています)

1.toolchainの選択
 使っているAndroidのCPUがARMなのでarm-linux-androideabi-4.4.3になる。
2.sysrootの設定
 NDKを$HOMEに展開しているので
$ NDK=${HOME}/android-ndk-r8
 とし、Android 2.3向けにコンパイルしたいので
$ SYSROOT=${NDK}/platforms/android-9/arch-arm
 とする。AndroidのバージョンとAPIレベルの対応はSTABLE-APIS.htmlを参照。
3.コンパイラの選択
$ export CC="${NDK}/toolchains/arm-linux-androideabi-4.4.3/prebuilt/linux-x86/bin/arm-linux-androideabi-gcc --sysroot=${SYSROOT}"
 CCに--sysrootまでを含める。
4.CFLAGSの設定
 CPUがAMRv7でVFPがあるのでドキュメントと同じ様に設定。ただし、この後に実行するconfigureでCFLAGSが反映されないのでexportしておく。
$ export CFLAGS='-march=armv7-a -mfloat-abi=softfp'

ここからドキュメントを離れて実際にconfigureとmake
$ tar zxf wget-1.11.4.tar.gz
$ cd wget-1.11.4
$ ./configure --without-ssl --disable-nls --build=i686-pc-linux --host=arm-none-linux-gnueabi
config.status: WARNING:  Makefile.in seems to ignore the --datarootdir setting
※2013/05/20 追記: configure時のオプション--hostはgccの前に付いているarm-linux-androideabiのほうがいいですね。

と警告が出るが、コンパイルしたいだけなので気にしない。
コンパイル時に必要なsrc/config.hが作成されるのでsrcディレクトリに移動してmake。
$ cd src
$ make
utils.c: In function 'get_grouping_data':
utils.c:1223: error: 'struct lconv' has no member named 'thousands_sep'
utils.c:1224: error: 'struct lconv' has no member named 'grouping'
utils.c:1238: error: 'struct lconv' has no member named 'decimal_point'
make: *** [utils.o] エラー 1
utils.cでエラーとなる。Android NDKのlocale.hではstruct lconvが定義されているがメンバーが無いので修正する。

--- utils.c.org 2008-04-27 13:48:24.000000000 +0900
+++ utils.c     2012-05-19 18:04:08.000000000 +0900
@@ -1213,6 +1213,10 @@
 static void
 get_grouping_data (const char **sep, const char **grouping)
 {
+#ifdef __ANDROID__
+  static const char *cached_sep = ",";
+  static const char *cached_grouping = "\x03";
+#else
   static const char *cached_sep;
   static const char *cached_grouping;
   static bool initialized;
@@ -1243,6 +1247,7 @@
         }
       initialized = true;
     }
+#endif
   *sep = cached_sep;
   *grouping = cached_grouping;
 }
変な直し方ですが、数値の桁区切りの文字と区切りを入れる桁数の設定をしているだけなので、こんな感じで。
utils.cの1箇所からしか呼ばれていないので、get_grouping_data()の呼び出し元を修正してget_grouping_data()を削除してもいいかも。
修正後、makeしなおしてwgetが作成されることを確認。

Android.mkApplication.mkをwget-1.11.4/jni/に作成して、ndk-buildでもwgetが作成できることを確認。

以前Android用のwgetを導入した時は、修正パッチを見て結構修正する必要があると思ったのですが、Android向けの設定でconfigureが通れば、修正箇所はかなり減りますね。

2012/02/19

Android上で動くgccの導入

2017/11/20 追記
Android 5.0以上ならTermuxでClangを使用できます → Termuxの備忘録
追記ここまで


前からAndroid上で動くgccが欲しいなぁと思っていたのですが、半年以上前にciel氏(@cielavenir)が作成されていました。凄い。

Marijuana氏のツイートを見て、同じくFDcloneをAndroid上で動かしたいな、と思っていたところ、ciel氏がFDcloneをビルドして下さったところから、Android上で動くgccがあることを知りました。

ciel氏のDropboxで共有されているファイルの一覧から以下のファイルをダウンロード。
  • android_gcc_r2a.tar.bz2
  • android_gcc_supplement.tar.bz2
adbでIS01に接続し、/data/local/に「gcc」ディレクトリを作成(パーミッションは775)後、2ファイルを展開。
/data/localのパーミッションが771なので、connect botで操作する時もファイルの一覧が見られるようにパーミッションを775に変更。

普段はconnect botでシェルをbashにしているので、~/.bashrcにgccなどへのパスの設定とライブラリのパスの設定を追加。

PATH=$PATH:/data/local/gcc/bin
LD_LIBRARY_PATH=$LD_LIBRARY_PATH:/data/local/gcc/lib
簡単なソースを書き、コンパイルして作成された実行ファイルが動くことを確認。


FDcloneの導入は、Marijuana氏のサイトrattcv氏のブログ(2012/02/17)を参考にして下さい。

IS01ではciel氏のビルドされたFDcloneだと
reloc_library[1302]: 9496 cannot locate 'killpg'...CANNOT LINK EXECUTABLE
となり、動作しなかったので、自分でビルドすることに。
#Android2.xと1.6の差か…

2012/05/19 追記
Android NDKのヘッダーファイルを見るとkillpg()がサポートされているのはAPIレベルが8以上、つまりAndroid 2.2以上のようです。

2012/02/11

Android用のnkfをコンパイル

2017/11/20 追記
Android 5.0以上ならTermuxでnkfをコンパイルして使用できます → Termuxの備忘録
追記ここまで

PerlのEncodeをAndroid用に作成するのは難しいので、nkfをコンパイルすることに。
#JIS, Shift JIS, EUC, UTF-8が扱えればOKなので。

nkfのソースを http://sourceforge.jp/projects/nkf/ から取得。
これを書いている時点での最新バージョンは2.1.2。

ダウンロードしたnkf-2.1.2.tar.gzからコンパイルに必要なファイル
config.h
nkf.c
nkf.h
utf8tbl.c
utf8tbl.h
の5ファイルを~/nkf/jni/ (ディレクトリは前もって作成)にコピー。
Android.mkの内容は、
LOCAL_PATH := $(call my-dir)
include $(CLEAR_VARS)
LOCAL_MODULE := nkf
LOCAL_SRC_FILES := nkf.c utf8tbl.c
include $(BUILD_EXECUTABLE)
で、コンパイル。
$ ~/android-ndk-r6/ndk-build
Compile thumb  : nkf <= nkf.c
In file included from /home/xxxxx/nkf/jni/nkf.c:30:
/home/xxxxx/nkf/jni/nkf.h:166:22: error: langinfo.h: No such file or directory
/home/xxxxx/nkf/jni/nkf.c: In function 'nkf_locale_charmap':
/home/xxxxx/nkf/jni/nkf.c:756: error: 'CODESET' undeclared (first use in this function)
/home/xxxxx/nkf/jni/nkf.c:756: error: (Each undeclared identifier is reported only once
/home/xxxxx/nkf/jni/nkf.c:756: error: for each function it appears in.)
make: *** [/home/xxxxx/nkf/obj/local/armeabi/objs/nkf/nkf.o] エラー 1
langinfo.hが無くてエラーとなっている。

KMC Staff Blog:RubyをAndroid用にビルドする を参考にnkf.hを修正。
$ diff -u nkf.h.org nkf.h

--- nkf.h.org   2011-09-08 21:02:30.000000000 +0900
+++ nkf.h       2012-02-10 23:44:10.000000000 +0900
@@ -153,6 +153,10 @@
 # ifndef HAVE_LOCALE_H
 #  define HAVE_LOCALE_H
 # endif
+#elif defined(__ANDROID__)
+# ifndef HAVE_LOCALE_H
+#  define HAVE_LOCALE_H
+# endif
 #else
 # ifndef HAVE_LANGINFO_H
 #  define HAVE_LANGINFO_H
でコンパイルし直し。

Compile thumb  : nkf <= nkf.c
Compile thumb  : nkf <= utf8tbl.c
Executable     : nkf
Install        : nkf => libs/armeabi/nkf
実機で動くことを確認。

2013/05/19追記: Android用のnkfをコンパイル その2 でコンパイルしたものを置いてます。